|
諸 元
Summary | ||
|
| ||
構造はS45Cのカッタボデーに超鋼合金の基盤を2枚とCBN焼結体をろう付けしている。
超鋼合金の基盤は耐衝撃部材としてCBNチップに与える衝撃を和らげる役割をはたしている。
CBN焼結体はそれ自体で強断続切削に優れた特質を有しているが、カッタの工具設計によりその特質を最大限に引き出す必要
がある。最適な切削状況を作り出し、ランニングコストの面で安定した長寿命化を実現しなければならないからだ。
CBN工具による旋削データは数多くあるが、断続切削のデータが少ない現状にではこのハードラックカッタの工具設計について
は試行錯誤をしながら経験則にたよってその設計を繰り返した。
それはまた切削条件との相関関係もあり幾通りもの工具設計をしなければならなかったがある程度満足できる切削結果と工具
寿命を確認できる段階にまで到達したと思う。
工具設計において特に重要と考えられるのはすくい角A、歯先角度Bおよび逃げ角Cの設定である。我々はこの数値を公開
できないが最適な切削を得られ、かつ良好な工具寿命を保持できる設計ができたものと自負している。
|
| ||
パート2)-3 モジュール5ラックの切削試験について
今回テストカットしたM5のワークの切削も問題もなく出来、そのピッチ精度および面祖度は以下の通りである。
パート3)-1 結論
焼入れ後のラック仕上げにおいてハードラック工法はその精度においてはラック研削にひけをとらず、生産性においてはサイクルタイムが約1/10に短縮されることが検証された。
ラック研削盤はワークと砥石が常時接触している。研削で発生する熱を外部に逃がす目的と砥粒面に付着したスラッジを除去する目的で多量の、温度調節された高圧(5Mpa)クーラントを吐出させる必要がある。
一方ハードラック工法においては高速回転するホブカッタで断続切削されるために、発生する切粉が熱をすばやく外部に逃がしてくれる。
したがってハードラックミルの場合は通常のクーラント装置(0.5Mpa)で事足りる。
また、恒温のクーラント液を高圧で吐出する場合、安全という理由以外に機械外部をクーラント液の飛散から保護する全面カバー
が必要になる。
通常のクーラント装置であれば液の飛散防止は左程おおがかりなものにはならず安全面で考慮されたカバーの設計で十分である。
研削盤での研削精度を保持するため光学式スケールを取り付け、クローズドループ制御を行うことが多い。
今回のハードラック加工試験では光学式スケールを用いなくても、通常のボールネジにNCピッチ補正を行なって切削することによって高精度のラック加工が可能であることが検証された。
研削盤に必要とされるドレス装置はハードラック工法では必要がない。
研削用スピンドル(Max 5,000回転)とハードラックミル用切削スピンドル(Max600回転)の製作コストを比較するとやはり研削スピンドルが高価である。
これらの理由により設備の導入費用はハードラックミルのほうが研削盤よりはるかに廉価である。
これは設備償却費としてラックの製品価格に転嫁される。
パート3)-2 今後の課題
高価なCBNをホブカッターに選定しているため工具費は高価にならざるを得ない。またソリッドタイプのホブカッターの研削には高度な技術が必要なためユーザーでの再研削は困難である。
したがってユーザーは予備のカッタを持つ必要がある。
ユーザーサイドでは在庫のためのコストが上がり、時間的にも不経済である。
これを解消するためにはスロアウエイ式のチップとカッタボデーの開発が必要不可欠であると考える。
我々は近々にこの方式のカッターを提供できるよう開発を進めている。
また熱処理技術と焼入れに伴う歪取技術の向上もハードラック工法でのコスト削減には重要な要素になる。焼入れが不均等で
あったり熱処理ひずみが大きく曲がりが矯正できないと、それだけ切削代が多くなり切り込み回数が増えることになる。すなわち加工時間が増えコストアップの要因になる。
ハードラック工法は世に出たばかりで、メーカーサイドのテストには限界がある。
ユーザーサイドで大量に製品を切削しながらデータを蓄積し、それがメーカーにフィードバックされて、さらにこの工法がより完成形になってくるものと期待している。
参考文献
1. Y Kuroda,A Kukino、M Goto
“ソリッドCBN焼結体工具BNS800の開発”
SEIテクニカルレビュー 第162号 2003年3月
著者: 冨岡 芳和
斎国製作所 チーフ エギュゼクチブ エンジニアリング
ラック歯切盤とラック研削盤の設計に長年たずさわった。
アメリカ グリーソン社が基本設計したスパイラルベベルギヤ用のステックブレード研削盤
BPGの改良設計をグリーソン社と共同で行ってきた。
電子工学科終了 東京電機大学in Tokyo
前のページへ